
こんにちは。
セラピーサロンBonityの横内です。
仕事で「もう無理だ」「しんどい」「疲れた」と、不安を抱えながらも気力を振り絞って頑張っていた。ようやく抜け出して、安定した環境や優しい仲間、適切な仕事量に恵まれたはずなのに―
なぜか落ち着かず、不安が押し寄せてくる。
「こんな自分で大丈夫かな?」
「同年代の友達はもっと頑張っているのに…」
安心できるはずの状況で、逆に罪悪感を抱いてしまう。
いい環境の職場に転職できたのに、罪悪感を感じてしまう

30代の羊さんのお話をします。
羊さんはこれまで一生懸命に働いてきましたが、心も体もすっかり疲れ果ててしまいました。
そこで思い切って、もっと気持ちが楽になれる仕事に転職しました。
新しい職場は優しい仲間に囲まれ、仕事量もちょうどよく、心に余裕ができるようになりました。
お給料も十分で、趣味を楽しむ時間まで持てるようになったのです。
「これでいいんだ」と思えるはずなのに―
ときどき羊さんはふと考えてしまいます。
「同じくらいの年の仲間たちは、もっと責任のある仕事をして頑張っている。こんなに楽をしていて、本当にいいのかな?」
心が安定したはずなのに、逆に罪悪感や不安を抱いてしまう自分がいるのです。
この不思議な現象にはどんな背景が考えられるのでしょうか。
◆頑張っていない私って価値がある?
羊さんの例のように、辛くてしんどかった前職から逃れ、新しい環境に恵まれたことで余裕が生まれ、趣味を楽しむ時間も持てるようになった。
ーなのに、ふと「いけないことをしている」「楽をしている」と感じて、罪悪感に襲われてしまうことがあります。
そんな背景には、次のような感覚が隠れているかもしれません。
- 一生懸命、頑張っていない自分には価値がない
- 自分を追い込んでいないと、生きている実感を感じられない
- 人一倍努力して得たものでなければ意味がない
◆どんな自分なら「OK!」を出せるの?
先ほど挙げた例に共通しているのは、「頑張る」「一生懸命」「努力」といったキーワードです。つまり、自分を奮い立たせている姿こそが自分にOKが出せる自分なのです。
一生懸命に、誰よりも頑張っていれば「自分は大丈夫」と安心でき、その結果得られたものにこそ価値があると信じている。
だからこそ、反対に「心地よさ」や「リラックス」「ダラダラ」している自分には「NG!」を突きつけてしまうことさえあるのです。
その結果、もっともっと努力しないと…と自分を追い込み、最終的に燃え尽きしてしまったり、常に気を張って緊張していることで睡眠不足やイライラにつながってしまうのです。
では、なぜそこまで自分を追い込まないと満足できないのでしょうか。
その背景には、アメリカの臨床心理学者、タイビー・ケーラー(Taino Kahler)が名付けた「命令型の5つのドライバー」が関わっている可能性があります。
ドライバー(Drivers)とは、人を動かす力となる5つの動機付けのことです。
- 完璧であれ (Be Perfect)
- 強くあれ (Be Strong )
- 急げ (Hurry Up)
- 人を喜ばせ、期待に応えよ(Please others)
- 一生懸命頑張り続けよ(Try hard)
今回のテーマに関連するのは、
- 一生懸命頑張り続けよ
- 人を喜ばせ、期待に応えよ
の2つのドライバーです。
1.一生懸命頑張り続けよ(Try Hard)
- 心 の 声:「もっと頑張らなくちゃ」「まだまだ足りない」
- 特 徴:努力そのものに価値がある。リラックすると罪悪感覚え、物事を達成しても達成感が薄い。常に全力でいないと不安に襲われる。
- メリット:周囲から認められる。昇給や昇進につながる。
- 弊 害:努力が他人に利用されたり、搾取の対象となりやすい。得られた賞賛が強い成功体験となり、なかなかそのサイクルから抜けられない。
2.人を喜ばせ、期待に応えよ(Please Others)
- 心 の 声:「人の期待に応えなきゃ」「人がガッカリさせてはいけない」
- 特 徴:人を優先するあまり、自分を後回しにする。誰のために頑張っているのか分からなり、「役に立たなければ」という渇望感を抱きやすい。困っている人を自ら探してしまうこともある
- メリット:周囲から感謝され、賞賛を得やすい。
- 弊 害:他人に利用されやすく、自分のエネルギーを消耗してしまう。
◆親の影響と自己否定
なぜ、私たちはこのような「心の声」を持つようになったのでしょうか。
- 幼いころ、親の期待に応えることで愛され、認められてきた。
- 「頑張れば親から認められる」「一生懸命やっていれば親から褒められる」と無意識に身につけてきた。
そんな体験を重ねる中で、無意識に「努力=愛される条件」という感覚を身に着けてきました。
親の役に立っていれば「私はここにいていい」と思える。
こうして幼少期に気付いた感覚が、大人になってからも「心の声」として生き続けるのです。
こう書くと、ドライバーは悪者のように思えるかもしれません。
けれど実際には、努力することや頑張ることは、自分を守り、力をつけ、社会に貢献するための大切な力でもあります。
問題は、ドライバーの背後に隠されている自己否定です。
「自分はダメだから、頑張らないといけない」
この感覚こそが根っこにあり、頑張り続けることで「自分はダメだ」という痛みに触れずに済んでいるのです。
つまり、自己否定があるからこそ頑張れるーそれが心理的利得として働いているのです。
では「自己否定を原動力にしている」と気付いたら、どうしたらいいでしょうか。
◆ドライバーとの付き合い方
ドライバーは無理に取り除くことはできません。何故なら、それを消してしまったら、人は空っぽになり、無気力、無力感に襲われてしまうからです。
自分の中でドライバーが発動しているな...と気付いたときに、こんな風に自分に問いかけてみてください。
「いま頑張ろうとしているのは誰のため?」
「自分を犠牲にしてない?」
「それは本当に私のやりたいこと?」
◆まとめ
ドライバーは私たちを突き動かしてきた大切な力でもあります。
けれど、そこに隠れている「自己否定」に気付かないまま頑張り続けてしまうと、心はどんどん疲弊していきます。
自分のことを思いやることができるのは、他人ではなく自分自身です。
人から認められることばかりに力を入れていると、「自分が自分を認める力があること」に気が付くことができません。
「ここまでは頑張ろう。けれど、残りの時間は自分の喜びのために使おう。」
そう決めることができたら、深呼吸をして力を抜く。
ここまで読んでいただきありがとうございました。